トランプ大統領は経済学を知らない?

毎日新聞の記事です。

トランプ次期米大統領は11日の記者会見で、
貿易赤字削減を目指す方針を表明した。
貿易赤字相手国として中国、メキシコと並んで日本を名指し。
2国間通商交渉を通じて赤字削減を迫ると見られる。
米国自身が戦後、長い時間をかけて築いた自由貿易秩序を崩すだけでなく、
結果的に米国を含む関係国経済を混乱させる恐れが強い。(1月12日)

若い人には馴染みがないかもしれませんが、
これは、20年ほど前に問題視された、
いわゆる「日米貿易摩擦」にかかわるものです。

要するに、アメリカ経済がイマイチなのは、
日本の輸出が多すぎて、
アメリカの輸出が伸びないからだ!
という主張です。

自動車などが典型例ですが、
とくに日本からアメリカに輸出する自動車については、
アメリカでの現地生産を進めることで、
いちおうの妥結が図られました。

アメリカで生産すれば、
現地の雇用も進み、
アメリカの経済も恩恵の一部を受けられるという理由からです。

このような経緯があるにもかかわらず、
今回のトランプ氏の発言の内容をみると、
「はたして経済の原理がわかっているのか?」
と疑問を持たざるを得ません。

たしかに、マクロ経済学のうえでは、
GDPにおいて「輸出」がプラス項目である一方、
「輸入」は、マイナス項目になっています。

これは、「輸出」によりお金が海外から入ってきて、
「輸入」は海外に出ていくことを意味するからです。

しかし、
「アメリカの輸出を増やすために、
日本やその他の国の輸出を減らすよう
圧力をかける」ことは、
時代錯誤も良いところです。

記事の最後に書かれているように、
巡り巡って、
アメリカ経済の首を絞めることにもなりかねません。

輸出を増やしたければ、
日本が買いたくなるようなモノを作って売れよ、
という話です(笑)。

トランプ大統領には、
経済のイロハから学びなおしていただきたいものです。

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「流動性のわな」とは?

いよいよ、市役所/県庁の試験が目前に近づいてきました。

今日はマクロ経済学の「流動性のわな」について、復習しましょう。

IS-LM分析で、
「利子率がゼロに近い状態で、金融緩和政策を行って通貨量を増やしても所得増加の効果がない」 ことを、

「わな」

に例えて表現したものですね。

通常ですと、金融緩和政策により、
利子率(グラフ縦幅r)低下→投資の増加→乗数効果により所得(グラフ横幅Y)拡大
となるところが、

利子率が下限(ゼロ)ギリギリまで来ているので、このメカニズムが発生しませんよ、
という理論です。

liquiditytrap

「流動性のわな」においては「LM曲線が水平」と表現している参考書がほとんどですが、
「利子率が変化しないために、金融政策によって需要創出効果が生じない」ことがポイントになります。

2016裁判所事務官 経済学【35】肢5
積極的な金融緩和政策を行っても、流動性の罠に陥っている場合には、利子率の低下は起こらない。(〇)

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クラウディング・アウトとは?

本日も、国家公務員試験の受験生向けの内容です。

マクロ経済学の参考書では必ず出てくる「クラウディング・アウト」。
何のことか説明できますか?

以下は、伊藤元重『マクロ経済学 第2版』より

1:財政支出増大(公共事業など)

2:GDP増大

3:貨幣需要増大

4:利子率上昇

5:民間投資減少

このように、1:での財政拡大効果が、2:3:4:のプロセスを
通じて、5:民間投資を抑制することで、
いわば政府が民間の需要を「押しのけ」る効果を
クラウディング・アウト効果と呼びます。

ただ、実際の経済運営としては
3 :貨幣需要増大 に対して、通貨面で
3′:貨幣供給の増大 がなされますので、

4:利子率の上昇⇒5:民間投資の減少

こちらの動きに至ることは少なくなっています。

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