「元の切り下げ」って何?

yahooの経済ページに掲載されていた、「THE PAGE」の記事からです。

中国の中央銀行にあたる中国人民銀行は11日から3日連続で、対ドル為替レートの「基準値」を引き下げました。11日には1.9%、12日には1.6%、13日には1.1%引き下げたことで、基準値は1ドル=6.116元から1ドル=6.401元になっています。
(THE PAGE 8月15日)

「切り下げ」と言うのは、四捨五入のときの「切り捨て」と紛らわしい単語ですが、
要するに「元の価値を下げます・安くします(=元安にします)」という発表を公にした、ということなのです。

元安になる
→外国人・外国企業が元を安く買える
中国の物も安く買える
→輸出拡大

以上がセオリーに則った動きという事になります。

要するに、中国を一つのお店と例えると、
「安売りセール」を開催した という事です。

ただ、この時期に「安売りセール」を打ち出したのは、
流行らない店が「閉店セール」を行うのと似たようなもので、

「中国国内の景気が伸び悩んでいるのではないか?」という評価を受けて、
「中国株安→世界的株安」に連結していると考えることが出来ます。

今後の動きに注目ですね。

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マクロ経済の“変化分をとる”って何?

マクロ経済で、いわゆる「変化分を取る」処理について、受講生から質問を受けましたので、
以下、かんたんに解説します。

国民所得:Y 消費:C 投資:I 政府支出:G とおくと
経済全体では総供給=総需要なので Y=C+I+G が成立します。

消費Cについては、
所得により増える部分→ 例として0.8Y (所得の80%を消費する)
一定の部分 → A
以上2つの合計とみなされ、C=0.8Y+A というふうに表します。

すると Y=C+I+G の式は
Y=0.8Y+A+I+G
0.2Y=A+I+G …(1) と書き直せます。

ここで、公共事業が行われ、GがΔGだけ増えたとします。
(Δ:変化分を表す記号でデルタと読む)
すると、巡り巡って所得YもΔYだけ増えることになります。

G,Yが増えた後も、均衡式は成り立つので、
(1)の式に Y→Y+ΔY、G→G+ΔG と入れてもOKです。
入れてみると
Y+ΔY=0.8(Y+ΔY)+A+I+(G+ΔG)
0.2(Y+ΔY)=A+I+(G+ΔG) …(2)

数学が苦手な方にとっては、顔をしかめるような式ですが、
もう少しお付き合いを…

(2)から(1)を丸ごと引きます。

0.2(Y+ΔY)=A+I+(G+ΔG) …(2)
-)   0.2Y=A+I+G     …(1)

0.2ΔY=ΔG  …(3)

ここで、(1)式と(3)式を見比べてみて下さい。

(1)式の中で、変化するGとYの前にΔがくっついてΔG、ΔYとなり、
変化していないA、Iは消えてなくなっています。

このように、(1)式から(3)式を作る処理を、「変化分をとる」
と俗に言います。

「変化分をとる」ことで、何がわかるかというと、
ΔG(=政府支出の増えた金額)に対して、ΔY(=所得が増える金額)が
いくらになるかを計算で求められるのです。

以上の例で、たとえばΔG=1兆円 とおくと
0.2ΔY=1 ですから ÷0.2して
ΔY=1÷0.2
=5
となり、Yは5兆円増えることになります。

このことを、「政府支出乗数が5(倍)である」と表現し、
マクロ経済学では定番の内容となります。

問題集などを見ると、とにかくΔを付ければ良い?と
錯覚してしまうと思いますが、
大事な基礎となるところなので、受験生の方は必ずマスターしましょう!

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「在庫が増えると、GDPは増える」は正しい?

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在庫が増える、ということは、モノが売れていない、と推測できるので、
経済成長を測る「GDP」は減る… と思われるかもしれませんが、
答えは逆で、
「在庫が増えると、GDPは増える」が正しいです。

GDP=国内総生産 ですから、実は
在庫が増えている=生産が増えている
ということなのですね。

もう少し補足して説明しましょう。

在庫が増えるということは、「生産されたものすべてが販売されていない」
ことを意味します。

「需要<供給」 という状態です。

そこで、データ上は、かならず需要=供給となるように調整するので、
「販売できなかった在庫は、企業が買ったとみなす」
という考え方が用いられます。

これが「在庫投資」という考え方です。
在庫投資がプラス=在庫が増えている=GDP増加
在庫投資がマイナス=在庫が減っている=GDP減少
となるのです。

在庫が掃けていくことは、企業にとって大助かりなのですが、
数字上は、「景気の停滞」になるというわけです。

以下、6月1日の日経新聞の記事です。

GDPは消費、設備投資などの水準を足し上げたものだが、在庫投資については水準ではなく変化が足される。今年1~3月期の在庫投資は年換算で9700億円のマイナス。つまり在庫投資そのものは減っているのである。前の期はというと、3兆2290億円のマイナスだった。この期に比べて、今年の減り具合は小さいという意味で、統計上は1~3月期のGDPが押し上げられた。

少し理解が難しい記事ですが、要約すると、
「在庫の減り具合が小さかったので、GDPが増加した」ということになります。

在庫が減れば、それだけ売れているということだから景気が良い印なんだな!
というのは、GDPの話では「誤り」となりますので、気を付けてくださいね。

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