マクロ経済で、いわゆる「変化分を取る」処理について、受講生から質問を受けましたので、
以下、かんたんに解説します。
国民所得:Y 消費:C 投資:I 政府支出:G とおくと
経済全体では総供給=総需要なので Y=C+I+G が成立します。
消費Cについては、
所得により増える部分→ 例として0.8Y (所得の80%を消費する)
一定の部分 → A
以上2つの合計とみなされ、C=0.8Y+A というふうに表します。
すると Y=C+I+G の式は
Y=0.8Y+A+I+G
0.2Y=A+I+G …(1) と書き直せます。
ここで、公共事業が行われ、GがΔGだけ増えたとします。
(Δ:変化分を表す記号でデルタと読む)
すると、巡り巡って所得YもΔYだけ増えることになります。
G,Yが増えた後も、均衡式は成り立つので、
(1)の式に Y→Y+ΔY、G→G+ΔG と入れてもOKです。
入れてみると
Y+ΔY=0.8(Y+ΔY)+A+I+(G+ΔG)
0.2(Y+ΔY)=A+I+(G+ΔG) …(2)
数学が苦手な方にとっては、顔をしかめるような式ですが、
もう少しお付き合いを…
(2)から(1)を丸ごと引きます。
0.2(Y+ΔY)=A+I+(G+ΔG) …(2)
-) 0.2Y=A+I+G …(1)
↓
0.2ΔY=ΔG …(3)
ここで、(1)式と(3)式を見比べてみて下さい。
(1)式の中で、変化するGとYの前にΔがくっついてΔG、ΔYとなり、
変化していないA、Iは消えてなくなっています。
このように、(1)式から(3)式を作る処理を、「変化分をとる」
と俗に言います。
「変化分をとる」ことで、何がわかるかというと、
ΔG(=政府支出の増えた金額)に対して、ΔY(=所得が増える金額)が
いくらになるかを計算で求められるのです。
以上の例で、たとえばΔG=1兆円 とおくと、
0.2ΔY=1 ですから ÷0.2して
ΔY=1÷0.2
=5
となり、Yは5兆円増えることになります。
このことを、「政府支出乗数が5(倍)である」と表現し、
マクロ経済学では定番の内容となります。
問題集などを見ると、とにかくΔを付ければ良い?と
錯覚してしまうと思いますが、
大事な基礎となるところなので、受験生の方は必ずマスターしましょう!
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